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月別アーカイブ: 2025年9月

第19回解体工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社藤原解体工業、更新担当の中西です。

 

家を壊す──言葉はシンプルですが、実務は驚くほど多領域です。構造・法令・近隣・安全・廃棄物・費用、どれか一つでも穴があれば、現場は簡単に止まります。逆に、段取りさえ整えば「静か・きれい・早い」現場は作れます。本稿では、初めての方にも分かるように、解体工事の全体像を準備→実行→受渡しの3フェーズで解説。チェックリスト・費用の考え方・近隣説明のコツまで、明日から役立つ“現場の型”をまとめます。✨

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1. 解体工事とは:建築の“逆施工”を設計する仕事
解体は「壊す作業」ではなく、設計された撤去です。建物は積み上げ順に論理があります。解体はこれを逆順で安全に分解し、材料を分別して資源へ戻すプロセス。木造・鉄骨・RC(鉄筋コンクリート)・混構造、さらに内装解体や付帯外構まで対象は広く、構造・材質・立地・動線で工程と機械が変わります。ポイントは以下の3つ。 – 安全:人・重機・資材の動線を分け、養生と仮設を最初に作り込む。 – 法令順守:事前届出・マニフェスト・近隣説明・占用許可などを漏れなく。 – 資源循環:分別精度=処分費の低減。壊し方がコストを左右します。♻️

 

2. 工法の選定:現場は“制約”から解く
工法は制約条件(敷地幅・道路幅・電線・隣家距離・学校/病院・時間帯・資材置場)から逆算します。 – 手壊し+小型機械:密集地・接道が狭い木造に有効。粉じん・騒音を抑制。 – バックホウ解体:一般的。アタッチメント(クラッシャー/カッター/グラップル)を使い分け、分別解体を徹底。 – ワイヤーソー/コア抜き:RCの静的切断に。振動・騒音を低減。 – ブロック解体/吊り降ろし:中高層での安全確保に有効。 選定の勘所は、養生の設計→重機・人の動線→分別ルート→仮置き→搬出回数を一筆書きで描けるか。ここが描ければ、現場は半分できています。

 

3. 法令・手続き:スタート前に“止まらない段取り” ✅
準備で最重要なのが届出と計画書。代表例として、建設リサイクル法(対象規模の事前届出・分別解体)、マニフェスト伝票の運用、道路使用/占用、騒音規制、振動規制、粉じん障害防止など。加えて、アスベスト事前調査は現代の必須項目です(詳細は第4回)。書類は“現場用”に一枚サマリを用意し、近隣説明の添付資料としても活用します。

 

4. 安全衛生:ルールは“現場の習慣”に落とし込む ‍♂️
KY(危険予知)と朝礼を毎日。重機周囲は立ち入り禁止・誘導員配置・アイコンタクト。高所・開口部は先行手すり・フルハーネス。散水は粉じん抑制、養生ネットは飛散防止、感電・挟まれ・転落を前提に動線を分ける。事故は“たまたま”ではなく“積み上がった無理”から起きます。疲労・焦り・過信を班長が拾う体制を。

 

5. 近隣対応:工事の“品質”は現場外で決まる 
トラブルの多くは、事前説明の不足と情報の非対称から生まれます。着工1週間前までに訪問挨拶とお知らせ投函。掲示物には工期・作業時間・連絡先・責任者を明記。要望や不安は記録(要望シート)し、工程に反映。説明文は“謝る”より“約束を具体化”が効果的。 > 例)「〇月〇日〜〇日、9:00–17:00の間、散水しながら作業します。最大音は11:00前後に発生予定。必要に応じて車の移動をお願いする場合は、前日までにご連絡します。」

 

6. 費用の考え方:見積りの“正体”を分解する
見積りは分別の手間×搬出距離×処分費で大部分が決まります。さらに養生・仮設・重機回送・道路占用・近隣調整など“壊す以外の費用”が効いてくる。木造とRCでは処分単価が大きく異なり、混構造は分別の難易度がコストを押し上げます。相見積りでは、含まれる/含まれないの線引き(残置物・樹木・土間・地中障害物・ライフライン止水/撤去・測量・整地)を箇条書きで確認しましょう。

 

7. 産廃と資源循環:壊し方=環境コスト ♻️
分別精度が高いほど再資源化率が上がり、処分費も下がります。代表的な区分は木くず・コンクリ・金属・ガラス陶磁器・石膏ボード・プラ・混合廃棄。石膏ボードは硫化水素対策、金属は磁選で回収、コンクリはガラとして再生路盤材に。マニフェストは“紙の義務”ではなくトレーサビリティの礎。写真・数量の見える化で信頼が積み上がります。

 

8. ミニ事例:昭和木造の路地奥・2トン搬出現場
条件:前面道路2.7m、電線低め、隣家距離0.4m、木造2階、延床22坪。大型重機は不可。 段取り: 1) 仮設足場・防音シート→2) 屋根材・建具の手解体→3) 小型バックホウ搬入→4) 壁・梁の分別→5) ガラ仮置き→6) 2t分割搬出→7) 整地。 工夫:午前は手壊し中心、午後は小型機で搬出集中。散水+測定で粉じんを管理。要望シートで近隣の“洗濯時間”に合わせた高音作業の時間帯変更。結果、クレームゼロ・2日短縮。

 

9. よくある質問(FAQ)❓
• Q. いつ解体会社に相談すべき? A. 売買や建替えの計画段階で。法令や動線の制約が計画変更に効くため、早いほど無駄が減ります。
• Q. 相場は? A. 構造・規模・立地・分別難易度・残置物量で大きく変動。内訳と除外項目の確認が肝心です。
• Q. 地中障害物が出たら? A. 追加工事になります。契約時に単価と判断基準を取り決め、写真と数量で合意形成を。

 

10. 発注前チェックリスト ✅
• 事前調査:構造・材質・石膏ボード・アスベスト・ライフライン。
• 法令手続:建リ法届出・道路占用/使用・近隣掲示・マニフェスト。
• 工法計画:養生・動線・重機・分別ルート・搬出回数。
• 見積確認:含む/含まない・残置物・外構・地中障害・整地範囲。
• 近隣対応:挨拶・掲示・連絡先・要望シート・記録写真。

 

11. まとめ:静か・きれい・早い=“準備が9割” ✨
解体工事は準備の勝負です。工法や重機の“選び方”、近隣や法令の“先回り”、分別と資源循環の“設計”。この3点を押さえれば、品質もコストも大きくブレません。次回は、誰もが気になる見積りの読み解き方を、サンプル内訳とともに徹底解説します。

 

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